30秒でわかる、今日の実録

経営者の頭の中には、その日その日の判断がぎっしり詰まっています。

なぜあの案件を今日で決めたのか。なぜあの人に任せず自分で動いたのか。顧客の反応で意外だったことは何か。どれも、後から振り返れば会社の財産になる話です。ところが、その大半は言葉にされないまま、翌朝には消えています。忙しいほど消えます。私自身がそうでした。

この「消えていく判断」を、なんとか残せないか。今日、うちの仕組みに一つ習慣を足しました。

夜、AIが3問だけ聞いてくる

やり方はいたって単純です。1日の終わりに、AIが私にその日の出来事に沿った質問を3問だけ出す。私はそれに音声で答える。しゃべるだけです。文字を打つ手間はありません。AIがその音声を受け取って、要点を記録に残し、翌日の発信記事の素材にまで変えてくれる。

問いは毎日変わります。「今日いちばん頭を使った判断は何で、その裏で何を捨てたか」。「AIに任せて楽になった瞬間、逆に任せきれなかった瞬間はどこか」。「顧客の反応で意外だったことは何か」。その日に完了した仕事や決めごとを見て、AIがその日に合った問いを作ってきます。汎用の質問を毎日投げられても答える気になりませんが、今日の具体に触れた問いだと、自然と口が動きます。

大事なのは「習慣を増やさない」こと

一つだけ、設計で気をつけたことがあります。これを新しい日課にしないことです。

朝と夜、うちにはAIとの短いやり取りがすでにあります。朝は今日の判断を数分で終える会。夜はやり残しを消し込む締め。この夜の締めの、いちばん最後に問いをくっつけました。独立した「4つ目の毎日タスク」にすると、人は必ず続かなくなる。既にある流れのしっぽに乗せる。これだけで、続く見込みがまるで変わります。

社長の暗黙知は、会社の資産

なぜここに手をかけるのか。社長の頭の中は、会社でいちばん言語化されていない資産だからです。判断の理由が本人の中にだけあると、人に引き継げないし、発信にも使えないし、後から検証もできません。「なんとなく決めた」が積み重なると、会社は伸びしろを自分で捨てていることになります。

AIは、しゃべった言葉を淡々と拾って形に残すのが得意です。人間なら「忙しいから今日はいいか」となるところを、毎日同じ温度で聞いてくる。感情がない分、続くのです。社長の声を毎日ひとすくいして、消える前に資産に変える。小さな習慣ですが、1年続けば、他では手に入らない厚みになるはずです。

道具としてのAIをどう使うかより、こうした「自分の頭の中をどう外に出すか」のほうが、経営者にとっては効く使い方かもしれません。

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